感想「映画パラサイト 半地下の家族」ポンジュノが伝えたかったこと

  • 1月 3, 2020
  • 11月 14, 2020
  • CINEMA
出典:映画.com

アカデミー賞を受賞し、一世を風靡した映画「パラサイト 半地下の家族」。韓国の鬼才ポン・ジュノが監督・脚本を務める本作がついにAmazon primeでレンタル開始されました。

再度鑑賞して感じた本作の魅力・感想を、改めて綴っていけたらと思っています。とにかくエンタメとして最高なので、幅広く人に見ていただきたい作品です。


この記事はあくまで映画を見た後の方々に見ていただくことを目的としており、本作の内容を書きますので、パラサイトをまだ見てない方は、見ない方がいいです。

あらすじ -パラサイト半地下の家族 感想-

キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。

出典:映画.com


パラサイトの大きなテーマは「貧困問題」で、裕福なパク家と半地下で暮らすキム一家が交じり合うことで物語が進んでいきます。

こんな人におすすめ -パラサイト半地下の家族 感想-


本作のポスターから見るに、ホラーというか、不気味なテイストが強そうに見えるのですが、ジャンルで言うと、「コメディ」「サスペンス」「アクション」「社会派」のような複数のものが入り混じったような作品で、幅広い人が見れる映画だと思います。


個人的には、韓国語の耳触りが聞きなれていないこともあり、韓国映画があまり得意ではないのですが、本作に至っては何も障害を感じず、物語にのめり込めました。

そういう意味でも、多くの人が楽しめる映画だと思います。

まず第一に至極のエンターテイメントである -パラサイト半地下の家族 感想-


この映画は貧困問題に対して強いメッセージがある作品なのですが、それをエンターテイメントに昇華しているのがすごいと思います。



物語の前半は、キム一家がギウの潜入をきっかけに、次々とパク家に入り込んでいきます。
現代社会で最も人の意思決定に影響していると言っても過言ではない「信頼できる人からの紹介」を巧みに利用し、長男のギウが妹のギジョンを紹介し、そこからドライバーや家政婦にトラップをしかけ、次々にパク家に寄生していきます。

特に家政婦である ムングァン を追い出すシーンは、彼女のアレルギーである桃の皮の成分を散布し、それを結核の症状だと仕立て上げるという、客観的にみると非道なやり方ではありますが、キム一家が貧困からの成り上がりを目指しているというバックボーンと、何とも言えない愛らしさに、応援してしまっている感覚になってしまいます。

この、前半の一連の「潜入」は、知的なヒーローが敵を欺くような映画の感覚に近く、これもエンターテイメント性の側面の一つだと思います。

また、上記にとどまることなく、「コメディ」や「恋愛」の要素があるのもよいです(恋愛の比重はかなり低いですが、あるとないとでは全然変わると思います。)
特にコメディでいうと、さりげない感じがすごくよく、例えばギジョンが、パク家の一人息子のダソンの自画像をチンパンジーと言ったり、クスっとするような笑いを国という壁を越えても提供できるというのが、シンプルにすごいと思いました。
それ以外にも、随所にコミカルなタッチがあり、こんなに重いテーマで、サスペンス調の中に、コメディの要素を入れていることが、本作の魅力だと思います。

そして物語の後半。ここからはドキドキハラハラする「サスペンス」要素が一気に強まります。

パク一家がキャンプで不在の中、リビングで酒やらお菓子やらを食べ散らかす、4人。そこに鳴り響くチャイムの音。ここから物語は加速します。

ムングァンにより明かされる、地下と夫の存在。
そのムングァンにキム一家が家族であることとその証拠をつかまれ、変化する上下関係。
それを崩そうとした直後に訪れる「パク一家の帰宅」。電話を切ってから、チュンスクがジャージャー麵をつくりながら、各々が片付けを行うハラハラ感とそこからの脱出劇。

やはり脱出という行為はハラハラしますし、エンタメの要素としても最高ですよね。ここは言葉の通りに手に汗を握りました。


別軸になりますが、このパラサイトは映像が美しいです。
これは単純に画質的な美しさもあるのですが、出ているキャストの方もすごく美人で、特にキム家の母「ヨンギョ」と娘「ダヘ」はまさに裕福な家庭にいそうなタイプですし、容姿もめちゃめちゃ美しいです。

以上のように、本作は「コメディ」「サスペンス」「社会派」「恋愛」「映像美」などエンターテイメントとしての魅力が複合的につまっています。

それが、この作品を見ていて、あっという間だと感じる所以だと思います。
個人的にどんな映画にも恋愛と美人は必要です。(笑)

メインテーマは貧富の差 -パラサイト半地下の家族 感想-

一番わかりやすく差が描かれていたのは、貧富の差を家の高さで表現していたことで、高台に住むパク一家と半地下に住むキム一家を対照させているのは明らかでした。象徴的なシーンは「大雨」のシーンで、激しい豪雨で、半地下に住むキム家は浸水をし避難所に逃れる始末でしたが、パク一家はキャンプが中止になったくらいで、なんなら庭でその大雨の中でダソンは遊び、翌日は悠々とパーティをしていました。


貧富の差があると、そのような事実があることを気づくこともできないのです。もちろんどちらが悪いとかそういうことを言っているのでなく、まずその事実を伝えたいというのがメッセージだと思います。

次に面白いと面白いのは、地下と半地下についてです。この二つにも明確な差がありました。
地下に住んでいた ムングァン の旦那のセリフで印象的であったのが、人生のこの先のプランはなく、何かを望んでいるわけでもなく、ただ地下にいるのが楽だからこうしているということでした。一方でキム家の一同は、裕福な家庭を強く羨んでいます。これは半地下という、上が少しだけ見えるという場所にいるか、全く見えない地下にいるかの違いだと思います。


その象徴に、最後の ムングァン の旦那 が暴れるシーンでは、キム家以外の裕福な家庭の人々には一切関心を示しておらず、貧富の差を恨んでいないことがわかります。


地下に存在し、地上が見えないがゆえに、現実に対する憎しみもなくそこで暮らし続けようとする ムングァン の旦那 と、地下にいながら、地上を羨ましく思い、行動をした結果、さまざまなトラブルや壁にぶつかり、成功をしながらも、地下に引き戻されるキム家、どちらが幸せなのでしょうか。ちょっと進撃の巨人っぽいなと思いました。

ちりばめられるキーワード -パラサイト半地下の家族 感想-

本作では、物語の中で何度か繰り返れるキーワードがあります。
一番は「匂い」ですね。前述した貧富の差の決定的な違いとして使用されるのが匂いで、キム家が潜入する際に、見た目や経歴を取り繕うと、「半地下の匂い」というのが染みついており、ドンイクやヨンギョは嫌悪感を抱きます。

この「匂い」というのは絶妙な着眼点だと思いました。匂いは長年をかけて染みつくようなものですし、自分自身や似た匂いを持つものでは自覚することができません。それでいて、人に強烈な嫌悪感を与えますし、言及された方も何とも言えない不快感を抱きます。

実際に、ギテクがドンイクを刺殺したトリガーになったのも、ドンイクが示した「貧困」の匂いに対する嫌悪感でした。

また、ギウが地下から逃げようとし、首輪によって地下に引き戻されるシーンや、殺人を犯したギテクがその後自分がどこに行くべきかを自覚したという表現からもあるように、貧富の差というのは本当に埋まりづらいものになっています。


その中々なくなることのない「貧富の差」を「匂い」で表現するのはめちゃめちゃうまいなと思いました。



他に印象的な言葉でいうと、「プラン(作戦)」でしょうか。(正直ここの解釈はあまり自信がないのです)
一貫してキム家はプランを立てて、実行し、寄生に成功します。ただ、必ずと言っていいほど、人生はプランにないことが起きます。
パク家の豪邸の地下に別の住人が暮らしていたり、大雨で家が浸水したり、キャンプから急に帰ってきたり。

体育館で、ギテクは無計画が最強だといいます。もともとプランがなければ失敗もないからです。
そしてそれを体現したのは、ムングァン の旦那 で、特にムングァンを失った以降はキム一家を殺す以外に何もなく、無計画でした。失い物のない人間は確かに最強だと感じるシーンですよね。


解釈は難しいですが、無計画は最強ではあっても、その先には何もないということに尽きると思います。

最終的に、ギウはプランを立てて、実行し父に再度日の光を浴びせます。
プランを立てて実行することが大事ですが、必ず不測の事態が起きるため、それだけになってはだめだ、という感じでしょうか。

さいごに -パラサイト半地下の家族 感想-

改めてですが、
痛烈な社会問題を、様々な要素でつつみこみ、エンターテイメントとして昇華しながら人々に届ける。これが僕は映画の役割と思ってます。

まさにそれを超ハイレベルで体現していたこの映画「パラサイト」最高でした!

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