80点【映画「マリッジ・ストーリー」感想/レビュー】愛がないとか単純な話じゃない

  • 12月 8, 2019
  • 12月 8, 2019
  • CINEMA
出典:映画.com

今話題の、Netflixオリジナル映画。
離婚に向かって進んでいく二人の物語。
個人的には、今まで見てきた夫婦間の物語より深い名作です。

あらすじ

女優のニコールと夫で映画監督・脚本家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。

出典:映画.com


設定は、「ブルーバレンタイン」などのような、どこかですれ違い、うまくいかなくなっていってしまう夫婦の離婚の物語です。

こんな人におすすめ

ヒューマンドラマとか、感動モノが好きな人など、広く人におすすめできる映画です。
夫婦や離婚に関する話だからといって、そういうライフステージにある人が見るべきといわれると、そうでもない気がします。
難しいですね(笑)

この記事はネタバレになるような内容を含む感想・解説記事となっております。作品を未鑑賞の方はお気をつけください。


愛がなくなったとか、そういう単純な話じゃない


このセリフが、個人的には最もこの映画で記憶に残った言葉です。
夫婦間の話でよくいわれるのって、この「愛がなくなった」という話で、映画「ブリーバレンタイン」でも、永遠の愛を夢見た二人も、夫婦になれば、どちらが悪いわけでもないが、愛がなくなってしまう、そんな切ない現実をリアルに描かれています。


今回の「マリッジ・ストーリー」の離婚の原因は、それとは少し違って、結婚して夫からの愛がなくなったのでなく、今でも尊敬しているところや愛おしいところが言語化できるほどはっきりあります。

ただ、ニコールは、チャーリーと過ごしていく中で、自分が主体でないこと、チャーリーの劇団で、個人としてでなく劇団として有名になることで、俳優としての自分自身の居場所がなくなっていることに気づき、今と違う環境に身を置くことを望んだ。

もちろん、浮気の話もありましたし、このことだけが離婚の原因ではないですが、このことを弁護士の吐露するシーンではハッとしました。

このチャーリーがニコールのことを「独立した人間でなく、所有物としてみている」という話は、今回の舞台や映画の世界だと、わかりやすく出ていますが、それって全然普通の家庭でもあることですよね。

ある程度年を取って、家族などの周りからの視線を感じ、結婚することを目的に結婚したり、結婚することで得られるステータスのために、などなど。
それに気づく瞬間がもしあるとすれば、本当につらいと思いますし、今回のニコールの想いは聞いたときは胸が痛かったです。

何かが違ったら


物語の冒頭で語られる、お互いに向けた、お互いの長所を書いた手紙。
これには本当に愛があふれていました。

▼チャーリーからニコール

ニコールの長所は、気まずい場面で相手を気遣えるところ。人の話をよく聞く。そして、話が長引く。家族の話に関しては妻が一枚上手だ。家族の髪を切る。飲まないのに紅茶を入れる。ロサンゼルス育ちで映画人に囲まれて育った。母親のサンドラや姉のキャシーと仲良しだ。息子とはとことん遊ぶ。負けず嫌いで、凄い力で瓶を開ける。映画で成功したのに僕の舞台に出るためにニューヨークへ来てくれた。知ったかぶりをしないし、僕の無理難題にも応えてくれる。僕が一番好きな女優だ。

▼ニコールからチャーリー

チャーリーの好きなところは、意志の強さ。他人に何を言われようと自分がしたいことをする。やたらとよく食べる。几帳面で、節約家。映画ですぐ泣く。家事が得意。めったに自分を曲げない。私が怒っても聞き流してくれるから気が楽。男性では珍しいくらいに、服のセンスも良い。負けず嫌い。子煩悩で、没頭する性格。インディアナ州から出てきて、酒や暴力が絶えない家庭だったらしい。自分の望みがハッキリしていて、徹底的な主義の人。

相手の見方によっては短所ととらえられる部分をも愛しているし、普段言語化しない細部を気に入っていたり、本当に素敵な関係だなと思いました。

物語の終盤で、チャーリーはニコールが書いたこの手紙を、偶然読むことになります。もし、離婚相談所で二人が手紙を読み合っていたらどうでしょうか。

個人的な意見としては、彼らは違う未来を歩んでいたのではないかと思ってます。


あと印象的なシーンがもう一つ。
裁判の最中で、二人がネガティブだとも思っていないことが、裁判上で罪のごとく取り上げられるシーン。ニコールがワインを少し飲みすぎて、階段でふらついてしまったという話です。

あれって、チャーリーからすると、多分全然嫌な部分ではなくて、ワインが好きで、ついつい飲みすぎてしまって、階段でふらついてしまうってチャーミングだなくらいな心象だったはずです。

そんな二人の思い出というか、記憶が、あんなにネガティブな使われ方をするって本当につらいなと思いました。

状況や場所が変わってしまうだけでこんなことになってしまうんですね。

さいごに

この映画の、さいごにってむずかしいです!(笑)
明確な結論があるわけではないし、終わり方もhappyではないけど、badかと言われるとそうでもなかったり。

とにもかくにも、結婚は難しい、というのは正直な感想です。
愛とか結婚については、まだまだわからないことだらけだ。