ネタバレ【映画「ジョジョラビット」感想/レビュー】踊るとは魂の開放

  • 2月 9, 2020
  • 2月 9, 2020
  • CINEMA
出典:映画.com

第二次世界大戦時のドイツ・ナチスを題材に、コメディを混ぜ込んだ傑作。
本記事では、ジョジョ・ラビットの感想を記載し、鑑賞した方が同意したり、新しい意見を感じる場にできたらと思っています。

あらすじ

第2次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、空想上の友だちであるアドルフの助けを借りながら、青少年集団「ヒトラーユーゲント」で、立派な兵士になるために奮闘する毎日を送っていた。しかし、訓練でウサギを殺すことができなかったジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかいの対象となってしまう。母親とふたりで暮らすジョジョは、ある日家の片隅に隠された小さな部屋に誰かがいることに気づいてしまう。それは母親がこっそりと匿っていたユダヤ人の少女だった。

出典:映画.com

あらすじにもあるように、基本的に「第二次世界大戦下のドイツ」が舞台になっております。
事前の知識を予習する必要はないとは思いますが、「ナチス」「ヒトラー」などを知らない場合は、さくっとググってから行くと、スムーズに映画の世界観に入り込めると思います。

こんな人におすすめ

「戦争を題材にした映画が苦手」な人にも基本的におすすめです。
僕自身がそうなのですが、「怪我や暴力などの過激なシーン」や「ライフルやミサイルのびっくりするような大きな音」などいわゆる戦争を描いた映画でよくあるシーンはかなり少ないです。(もちろんゼロではありません)

あとは、「戦時の悲劇や勇敢さ」がメインメッセージの映画が苦手な人っていると思います。
ジョジョ・ラビットはコメディやラブロマンス的な要素もあるため、普段戦争をテーマにした映画を見ない人でも楽しめると思います。

ただ、逆に戦争の再現性やリアルさを求める方には合わないと思います。

この記事はあくまで映画を見た後の方々に見ていただくことメインの目的としており、ネタバレというか、本作の内容は書きますので、まだ見てない方は、見ない方がいいです。

環境や社会の怖さとそれぞれの正義

本作で最も僕自身が感じたのは「環境や社会の怖さ」です。
物語の冒頭のシーンからわかるように、ジョジョは「アドルフ」やドイツ軍やナチズムに憧れと尊敬の念を抱いている10歳の子供です。

ジョジョにとって、彼らは正義の象徴的な存在であり、「アメリカ」は悪の象徴であり、「ユダヤ人」は見たことのない生き物でした。歴史でも語られている通り、客観的にはドイツが「悪」であるといえますが、幼少期からヒトラーが正しいと教え込まれているジョジョからすると、ドイツは正義です。
しかし、ジョジョは訓練中に、ウサギを殺せといわれて、周りから駆り立てられてもウサギを逃がそうとする、非常に心優しい少年です。
そんなジョジョがヒトラーのことを正義と信じており、教育や環境というのは非常に恐ろしいものだなと感じました。
(余談ですが、進撃の巨人の世界観を思い出しました、エレンやライアンも幼少期の環境により、お互いが深く交わるまで、それぞれが正義だと信じきっていました。お互いジョジョと同じように、環境のせいでそれぞれの正義を妄信してました。)
また、この映画のいいところは、10歳の少年が主人公であり、その純粋で柔軟な心ゆえに、ジョジョの考えは変わっていくところです。

ジョジョは実際に「ユダヤ人」であるエルサと話すようになることで、彼女らが自分と同様の人間であることを実感します。
レジスタンスである母の行動をしり、その母を失うことで、自分の信じている「正義」への違和感を感じます。

象徴的だったシーンは、終盤で親友のヨーキーが放った「ヒトラーは悪いことをしていた、僕たち間違ってたかもしれない」という言葉で、それを柔軟に受け入れることのできる少年の純粋な心を感じました。

年をとればとるほど、そこに対して費やした時間やものが増えるため、自身の価値観を変えるのは難しいです。(サンクコストってやつですね)

ジョジョはたちはそれを受け入れ変わることができました。
絶対的な悪だとされている「ナチス」も環境や社会によっては正義になってしまいます。そんな時に、自分の体験や感じたことををもとに行動することが大事なんだと強く感じました。

魅力的な登場人物

ジョジョラビットの登場人物は、パンチがありみんな本当に魅力的です。

ジョジョはヒトラーを信じていながらも、根っこは本当に優しく愛らしい。
ボーイフレンドのふりをして、エルサに手紙を書きつつも、傷ついた彼女を見て後悔してすぐに手紙を書きなおす姿。一生懸命にポスターを貼ったり、金属類を集める真面目さ(金属回収中にヨーギーと再会するシーン可愛すぎた)。

すぐにエルサに恋をしてしまい、離れたくないからすぐにばれてしまう嘘をついたり、好きと伝えた後に「どうせ弟としてでしょ」と何とか自分が期待しないようにしたり。
ジョジョを通してこの「第二次世界大戦下のドイツ」が描かれるからこそ、コメディ調なゆったりとした時間と、緊張が絶妙なバランスで描けていると思います。

エルサは肝の座り方がかっこよくて、はじめて徐々に発見された時も「Hi」と余裕を見せてたし、ゲシュタポが来た際にもあえて出てきて姉を演じきったり、部屋にいるときにすごいリラックスした体制とかとっていたり、です。

絶望的な状況でも、常に強くあろうとした彼女の姿は、これまでの壮絶な過去があったことを感じさせ、非常に魅力的でした。(そして本当に美人)

ジョジョの母のロージーは、強く愛情に満ちた女性でした。
当時のファシズム社会で、男性に対しても、社会に対しても、ヒトラーに対しても恐れず、自分の信じることを実行してました。

ファッションがカラフルでかわいく、特に靴がおしゃれだなと思っていたら、悲劇のシーンに。(本当に悲しかったですが、うまい演出だなと思いました)
ロージーは常にジョジョに「ドイツが間違っている」と教えを、間接的に説いていました(直接的では、ジョジョも命の危険にさらされる危険性があるため)

川辺で言っていた「10歳なんだから、政治のことばかりじゃなくて、木に上ったり落ちたりしなきゃ」みたいなセリフ良かったです。

その他にも、ヨーギーは常にかわいすぎるし、何よりジョジョがウサギを殺すように言われている時も声をあげないし、ユダヤ人のガールフレンドがいるといった時も全くそれを否定したり、他人に伝えようとしない優しい少年です。
大尉は数少ない「ドイツが間違っている」と自覚している人間で、最後にジョジョを逃がしたシーンは最高にかっこよかった。

登場する人物が本当に魅力的で印象的で、その分感情が揺さぶられました。

パンチライン(名言)がたくさん

本作は本当に素敵な言葉がたくさんありました。
※うろ覚えなので微妙に違います(笑)

・「自由になったら何したい?」「ダンス」
・「ダンスは魂の開放」

・「ユダヤ人はどこに住んでいるの?」「あんたの頭の中」

・「大人の女性は、嬉しい時も悲しい時もシャンパンをのむ」

・ 「すべてを経験せよ 美も恐怖も 生き続けよ 絶望が最後ではない」

ジョジョラビットでは「ダンス」という言葉がキーワードで、自由の象徴とされています。普段そんな風に考えたことがありませんでしたが、たしかに踊っている時(決まったものではなくて、なんか仲の良い友達とかとカラオケでやるやつ)って自由だし、楽しいですよね。なんかそういう人間の普遍的な自由の象徴がダンスなんだなって思いました。

最後のリルケの言葉は、この映画のメッセージそのものです。
ジョジョは手榴弾で身体が吹き飛ばされ、自分が妄信していた「ナチス」に母を奪われ、敵と思っていたユダヤ人のエルサに恋をしました。

そんな経験をしても、生き続けることを選択して、希望を見出しました。
傷つくことを恐れてはいけないと、シンプルですが、強く思いました。

さいごに


ジョジョラビット、最高でした。
ナチスという重いテーマも、コメディ要素やおしゃれさやラブロマンスを入れることで、強いメッセージ性は残されつつも、エンターテイメントとして昇華されていました。

是非。