【映画「愚行録」感想/レビュー】人は生まれ落ちた時に決まるのか

  • 10月 13, 2019
  • 10月 14, 2019
  • CINEMA
出典:https://web.videopass.auone.jp/navi/news_article/35262
出典: https://www.infact1.co.jp/staff_blog/webmarketing/blog-use/27200/

映画「愚行録」見ました。

この記事ではこの映画が好みの人に、僕なりの感じたこと、作り手からのメッセージみたいなものを書けたらと思います。

こんな人におすすめ



・人間の深層心理に深く入りこんだ作品が好きな方
・暗くて、重いトーンが味わいたい方
・サスペンスが好きな方


イメージですが、「怒り」などと雰囲気は似てます。
また、サスペンス要素はありつつも、主題ではないので、そこを求めすぎると楽しめないかもしれません。


以下あらすじです。

エリートサラリーマンの夫、美人で完璧な妻、そして可愛い一人娘の田向たこう
一家。絵に描いたように幸せな家族を襲った一家惨殺事件は迷宮入りしたまま一年が過ぎた。週刊誌の記者である田中
(妻夫木 聡)は、改めて事件の真相に迫ろうと取材を開始する。

殺害された夫・田向たこう
浩樹 (小出恵介) の会社同僚の渡辺正人
(眞島秀和) 。 妻・友希恵 (松本若菜) の大学同期であった宮村淳子 (臼田あさ美) 。 その淳子の恋人であった尾形孝之 (中村倫也) 。
そして、大学時代の浩樹と付き合っていた稲村恵美 (市川由衣) 。

ところが、関係者たちの証言から浮かび上がってきたのは、
理想的と思われた夫婦の見た目からはかけ離れた実像、そして、
証言者たち自らの思いもよらない姿であった。
その一方で、田中も問題を抱えている。
妹の光子 (満島ひかり) が育児放棄の疑いで逮捕されていたのだ――。

出典: http://gukoroku.jp/

感じたこと(ネタバレあり)


映画はバスシーンからはじまります。
席に座る田中が老人に席を譲れと指摘され、譲った後にわざと転倒し、足が悪いふりをするという、何とも胸糞の悪いシーンからはじまります。


ですが、このシーンは本作品のニュアンスを伝えるにあたり適切であり、絶妙なシーンだなと感じました。

作中では複数の登場人物の行動がインタビューを通して伝えられていきます。


・新入社員の女性の心を弄ぶ男
・その男性に夢中になってしまう女性社員
・大学のカーストのTOP夏原に少しでも近づこうと自分を安売りする女子学生
・そんな女子学生の行動を見下しながら、同じように夏原に憧れを抱いてしまっている宮村
・自分が利用されているとわかっていても、田向を好きでいてしまう稲村

数々の愚行録の中で少しずつ明らかになる事件の真相。
非常に引き込まれるものがありました。
(大学のカーストにリアルさはあんまりでしたが、ニュアンスはまさにそうだなという感じでした)


そして終盤、田中家の愚行が次々に明らかになっていきます。
父は娘と身体の関係を持ち、母はそれを見て娘を咎める。
娘である光代は、一家殺人事件の犯人であり、兄は宮村を撲殺する。
最後には、光代の子供が兄との間の子供ということが明らかになります。
そう、この田中家の愚行は、その他の人物のものとは一線を画しています。


物語の中で、「家系」という言葉がでてきます。
いい家系の内部の学生とそうではない家系の学生では交わることができない。
この田中兄妹の度を越えた愚行も、家系が故であると、生まれ落ちたタイミングでその人は決まってしまっているとそんな風に言われているような気になりました。これは非常につらい。



ただ、最後に少しだけ希望がありました。
田中の母は、再婚し、新たな幸せそうな家庭を築いていました。
田中自身も、老人にバスで席を自発的に譲ってました。


もちろん、そのあとどうなるかは描かれてませんし、わかりません。
バスを降りたあとに田中は老人を撲殺するかもしれません。

ただ、作り手側は最後に希望のかけらを残していってくれたのだと思います。


僕らも、人生で様々な愚行をとってしまいます。
自分にしかわからない、痛烈な性分を誰しももっているかもしれません。


でも人は変われるかもしれない。
田中でも、席を譲れたのだから。